「下水道」から大地の恵み 国交省 汚泥を肥料化、農産物ブランドに本腰 (1/3ページ)

真っ赤に色づいたトマト。下水道由来の肥料により収量と食味がともに期待できる=長崎市(国土交通省提供)
真っ赤に色づいたトマト。下水道由来の肥料により収量と食味がともに期待できる=長崎市(国土交通省提供)【拡大】

  • 下水道由来の肥料を使った野菜はスーパーでも人気という=1月、佐賀市内のスーパー(国土交通省提供)

 国土交通省が今年度、農産物のブランド化に本腰を入れている。「国交省が農産物?」と首をひねりたくなるが、実は所管する下水道から生み出された肥料で野菜などを育てているのだ。とかく不衛生なイメージもつきまとう下水道に親しみを持ってもらうことで新たなビジネスとして普及させるほか、ひいては日本の食糧安全保障にも寄与する可能性があると期待されているという。

 16道府県で栽培

 「私の評価では、これしかないと思いました」。3月下旬、新たな農産物のブランド名を決定する審査会で、委員長を務めた料理評論家の服部幸應氏(71)は、833点の一般応募作品から選ばれた「じゅんかん育ち」を激賞。「新たなPR戦略を進めてほしい」と国交省に注文をつけた。

 国交省が普及を目指すのは、下水処理の過程で採取される汚泥を発酵させるなどして作られた肥料や、処理水などを使って育てられた農産物で、「じゅんかん育ち」は同農産物の統一ブランドだ。国交省が把握するところでは、現在は16道府県などでダイコンやトマト、イチゴなどが栽培されており、レストランでも採用されつつある。

 じゅんかん育ちに使用されるという下水道由来の肥料の特徴は、含有される自然由来のリンや窒素が生み出す栄養価の高さと、手頃な価格にある。

イチゴの収穫量が大幅に増え、糖度も高く

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