2020年東京五輪・パラリンピック期間中の宿泊施設不足を緩和しようと、政府が29日、クルーズ船をホテルとして活用する「ホテルシップ」について検討する関係省庁会議の初会合を開く。ホテルシップは今後の国際イベント誘致にも生かせるとして、官民で取り組みを加速させる。
関係省庁会議は内閣官房、厚生労働省、国土交通省など7省庁やクルーズ船会社、旅行代理店などで構成。年内をめどに法制度面での課題を洗い出すほか、港湾管理者となる自治体やクルーズ会社、旅行会社との情報共有を図る。
みずほ総合研究所の試算では、東京五輪時に訪日客数が4千万人に達した場合、東京ではホテルが最大1万5千室不足するとされている。ホテルシップは16年のリオ五輪時にも、バスケットボールの米国代表チームが宿泊先として利用した実績があり、ホテル不足緩和の秘策として白羽の矢が立った。
五輪などの大規模な国際イベントでは、開催後の宿泊需要落ち込みも懸念されるが、ホテルシップであれば柔軟な需給調整が可能だ。訪日客を呼び込む国際イベントの誘致にも弾みがつくと期待される。