借金帳消しや農産品の買い取り価格引き上げを求める抗議集会に参加した農民ら=首都ニューデリー(AP)【拡大】
インドは農民の生活苦が深刻だ。統計やアンケートなどデータに基づく記事を配信する地場電子メディアのインディアスペンドによると、2013年に政府の全国標本調査機構(NSSO)の調査結果から、農業世帯9000万世帯の約7割に当たる6260万世帯が収入よりも支出が多かったことが分かった。現地紙ヒンドゥスタン・タイムズなどが報じた。
インディアスペンドは、こうした状況が借金の増加を生み、借金帳消しや農産品の買い取り価格引き上げを求める農民の抗議活動が頻発する現状につながっていると指摘した。
同国は労働人口に占める農業人口が55%とされる。一方で、農業の経済規模は全体の15%程度で貧困に苦しむ農家が多いとされる。
13年の政府データによると、同国の農業世帯のうち7800万世帯(約85%)は所有する農地が2万平方メートル以下の小規模農家だ。10万平方メートル以上の農地を所有する35万世帯(約0.4%)では、平均月収が4万1300ルピー(約7万600円)に対して支出が1万4000ルピーと黒字だったが、小規模農家の多くは赤字による生活苦に苦しんでいる。
また、インドでは農民の自殺も社会問題となっている。1995年から2015年にかけての農民の自殺者は30万人以上となっており、ここ数年も年間1万人を超える状況が続く。内務省の統計によると、15年は約1万2600人の農民自殺者のうち、借金・破産が理由とみられるケースが約40%と最多だった。