農林水産省は8日、コメとコメ加工品の輸出量に関し、2019年に現在の4倍以上に相当する年10万トンとする新たな目標を掲げると発表した。国内のコメ需要の減少を補い農家の所得を向上させるため、海外市場を拡大するプロジェクトを立ち上げた。
斎藤健農水相は閣議後の記者会見で「高い目標だが、果敢に挑戦したい」と述べた。新たな目標は、主食用のコメと、せんべいなどの菓子や日本酒の原料をコメに換算した合計の輸出量を、現在の約2万4000トンから10万トンに引き上げる。
主食用のコメの輸出は香港やシンガポール向けを中心に増加傾向にあり、16年の輸出量は約1万トンだった。一方、国内の主食用米の需要は毎年8万トンのペースで減少を続けており、需要を拡大することが課題となっていた。政府は輸出を増やす取り組みを後押しするため、輸出増を目指すコメ産地や事業者、重点的にプロモーションなど行う販売のターゲット国をそれぞれ特定して10月末にも公表する。産地や事業者は公募する。
農水省は、コメの新たな市場を国内外で開拓する産地に対して10アール当たり2万円を助成する交付金を18年度予算の概算要求に盛り込んでおり、この活用も検討している。