自民戦略本部、幼児教育・保育無償化へ提言 「生煮え」…文教族に不満根強く

 自民党の「人生100年時代戦略本部」(本部長・岸田文雄政調会長)は22日、党本部で会合を開き、幼児教育・保育について3~5歳児では認可外保育所も含めた無償化を柱とする提言をまとめた。24日に安倍晋三首相に提出する。だが、急ごしらえで策定したため、政府に判断を委ねる部分も多く「生煮え」との印象は否めず、文教族には不満が根強い。

 提言は、国や自治体が料金を決める「公定価格」か、施設側が決める「自由価格」という保育料の設定で無償化対象を線引きすることを明記した。また、認可、認可外の施設を問わず一律に助成する際の所得制限については「支援が真に必要な世帯に重点的に向けられる必要があるとの意見にも留意すべきだ」との表現にとどめ、制限導入の是非には触れなかった。

 自民党は政府が12月上旬に決定する幼児教育の無償化を含む「人づくり革命」の2兆円規模の政策パッケージに間に合わせるため、計4回の会合で提言をまとめた。このため、党内からは「そもそも消費税増税分を無償化に充てるという話も急に出てきた。待機児童対策などで根本的な議論がないまま進められた」(中堅)との声がくすぶる。

 22日の会合も出席者から注文が続出した。文教分野に精通する議員からは「幼稚園の預かり保育も無償化の対象に含めてほしい」との意見が目立った。最終的には今後も議論を進めていくことで党執行部が引き取ったが、火種を残した結果となった。