カナダ、米をWTO提訴「制裁関税は協定違反」 NAFTA再交渉さらに難航も

米通商代表部のライトハイザー代表=2017年8月16日、ワシントン(ロイター)
米通商代表部のライトハイザー代表=2017年8月16日、ワシントン(ロイター)【拡大】

 カナダ政府は10日、トランプ米政権の貿易政策はルール違反だとして、世界貿易機関(WTO)に提訴したと発表した。不当に安い価格で輸入された外国製品に制裁関税を課す際の手続きなどがWTOの協定違反に当たると主張している。

 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は「主張は事実無根で、提訴は軽率だ」との声明を発表、争う考えを示した。両国の貿易摩擦の激化で、メキシコを交えた3カ国による北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉はさらに難航する可能性がある。

 トランプ政権は国内産業保護のため、市場価格を大幅に下回る安値で輸入されているとの理由で、制裁として外国製品に反ダンピング(不当廉売)関税や、相手国政府からの補助金分に当たる相殺関税を課している。

 日本や中国、韓国など多くの国の製品が制裁の対象になっており、9日には米商務省がカナダから輸入された紙製品に相殺関税を課す方針を決めたばかりだった。制裁関税はWTOも認めているが、発動には厳しい条件が付く。