安倍晋三首相は、4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁(73)に続投を打診する方針を固めた。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の第1の矢である「異次元の金融緩和」を指揮し、「もはやデフレではない状況を作り出した」(安倍首相)功績を評価した。複数の政府関係者が明らかにした。
次の任期の2023年まで務めれば在任期間は歴代最長の一万田尚登氏を超える。黒田氏は財務官やアジア開発銀行(ADB)総裁を経て、白川方明(まさあき)氏の後任として13年3月20日付で第31代総裁に就任した。大量の国債買い入れやマイナス金利政策の導入で、超円高の是正や雇用回復を通じ景気拡大を下支えした。
安倍首相は今月6日の衆院予算委員会で、黒田氏が取り組んできた大規模緩和策が「市場の空気を変えていく力になった」と評価。黒田氏も「強力な金融緩和を粘り強く進めていく」と継続姿勢を示していた。
黒田氏を交代させれば、政権の高支持率の源泉であるアベノミクスが後退したと受け止められる恐れがあった。金融市場でも「緩和路線の継続で市場の安定性につながる」と続投を期待する声が多い。