【水と共生(とも)に】国民生活に直結 水道法改正案の行方 (2/3ページ)

西日本豪雨で土石流により壊滅状態となった愛媛県宇和島市の吉田浄水場=7月(南予水道企業団提供)
西日本豪雨で土石流により壊滅状態となった愛媛県宇和島市の吉田浄水場=7月(南予水道企業団提供)【拡大】

  • 下水道分野では国内初となるコンセッション方式を導入した下水処理施設「西遠浄化センター」の汚泥処理棟など=浜松市
  • パリ市水道公社のベンジャミン・ガスティン業務部長(左)と筆者=衆院議員会館

 世界銀行は90年代以降、途上国の水道インフラ事業に融資する際、水道民営化を推し進めた。しかし、ボリビア、フィリピン、南アフリカなどでは水道事業を民営化した結果、サービス低下や水道料金の高騰が起き、死者が出たり訴訟に発展したりした。日本も同じ轍(てつ)を踏むのではと危惧されているのである。

 海外では2000~15年の間に、37カ国で民営化された水道235事業が再公営化されている。

 有名なところでは、仏パリ市も再公営化している。水メジャーと呼ばれる国際的水道会社、スエズとヴェオリアが1985年から2009年までの間、パリ市の水道を経営したが、その間、水道料金は265%上昇し、市民サービスは低下した。

 パリ市は10年、再公営化を決断するとともに、市民や水道関係者が意見交換するための組織「Observatoire」をつくり、事業の透明性、責任の所在、利用者の関与を徹底した。その結果、45億円のコスト削減や水道料金の8%低減に成功した。水道利用者は約300万人である。

 来日したパリ市のベンジャミン・ガスティン業務部長は、再公営化について「事業の透明性と持続性を優先した資産管理が大切である」ことを強調した。

 民営化の前にやること

 水道民営化については国民の反感があるため、まずは市町村などが手掛ける水道事業の広域化・統合化が一つの選択肢となる。最終形は「1県1水道の集約化」で、既に香川県、宮城県、奈良県などで検討が進められている。

 広域化・統合化は「規模の経済(スケールメリット)」が発揮されると強調されるが、そう単純でもない。人件費に焦点を当てると、給水人口が100万人近くになるとやっとスケールメリットが出てくる。つまり、中途半端な広域化・統合化ではメリットは生じないということだ。

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