【経済インサイド】ATMを銀行業界で共同管理? 「脱自前主義」加速も、足並みに乱れ (2/3ページ)

平成30年9月中間連結決算を発表する三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長=13日、東京都中央区(林修太郎撮影)
平成30年9月中間連結決算を発表する三菱UFJフィナンシャル・グループの平野信行社長=13日、東京都中央区(林修太郎撮影)【拡大】

 ATMの共同運営をめぐっては全国の大手銀行や地方銀行、コンビニエンスストア大手などが出資して平成11年に設立したATM運営会社「イーネット」が既にあり、同社を活用すべきだという案も出ている。

 現金信仰が強い日本では、これまでATMの使い勝手は利用者が銀行を選ぶ際の重要な指標だった。各行は市街地の一等地に拠点を構え、その機能性を競い合ってきた。

 ただ、振り込みなどの手続きもスマートフォンがあればできるようになり、今後はキャッシュレス決済の急速な普及が見込まれる。超低金利による貸出業務の利ざや縮小で「自前主義」を守れる余裕は既になく、年間2兆円ともいわれる現金決済の維持コストをどう負担するか、各行にとって頭痛の種だ。ATMは既に競争領域ではなく、経済活動を支える社会インフラとして共同管理する時代が近づいている。

 とはいえ業界が雪崩を打って共通化に突き進むかといえばそう簡単でもない。

 次期勘定系システムへの移行作業を進めるみずほ銀行は三菱UFJ銀と三井住友銀の相互無料化に当面加わらない。みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長は14日の記者会見で、「(ATM共通化は)正式な話をもらっていない。(みずほ銀は)イオン銀行と既にATMを共同利用しており、かなり競争力のある状態だ」と述べ、協業に慎重な姿勢を示した。

コンビニ系銀行にも逆風