「ミニスカの女性キャラが交通啓発」フェミニストとVチューバーの議論がすれ違う理由

    炎上の原因はキャラクターの背景・文脈を共有しないから

    これらの炎上に共通しているのは、公的機関(またはそれに準ずる機関)がアニメ(画)キャラクターを使用したところにある。

    そもそも炎上してしまうのは、漫画やアニメに精通していない人々がそのアニメのコンテキスト(文脈・背景)を共有せずに、「巨乳」「ミニスカート」「女子高生」といったアニメキャラクターを構成する記号だけに反応してしまうことが原因である。

    漫画、アニメの作品数が膨大な数を誇る日本では、漫画、アニメのキャラクターは記号的な意味を付与されており、それによって他のキャラクターとの差別化を図っている。

    例えば、眼鏡をかけているキャラクターは優等生やクールな性格の持ち主として理解され、フリフリのフリルのスカートや猫耳は、可愛らしいキャラクターの記号として理解されることが多い。普段からアニメ、漫画に接している人は無意識にこれらの記号を咀嚼し、それがどういう意味を持つものなのかを理解している。

    ところが、それがひとたび公共空間でポスターなどに起用されてしまうと、そのアニメのストーリーやキャラクターの性格が一切排除され、「巨乳」「ミニスカート」という記号の部分だけが単品で強調されることになる。その結果、漫画・アニメ文化に普段から関わりを持たない人にとっては単なる「男性の性的興奮を惹起する要素」に映ってしまうのだ。

    先ほどの『のうりん』の例で言えば、炎上の原因となった良田胡蝶は原作では活発なキャラクターとして描かれている。ところが、それらの情報が一切排除されたイラストを何も知らない人が見れば、大きな胸を強調した女性がまるで男性からの視線に顔を赤らめているような「性的なイラスト」として見えるというわけだ。

    早急な幕引きでは何も学べない

    実際のところ美濃加茂市のスタンプラリーはかなりの経済効果があったという。若者文化であるアニメとコラボすることで若者の観光需要を生み出し、地方活性化につなげたいという自治体の目的は何ら非難されることではない。また、自衛隊についても、自衛官に応募する人の多くが男性であることから、どうしても募集ポスターが人気アニメの女性キャラクターになってしまうのは否めないことであろう。

    問題なのは、こういった炎上が毎年のように繰り返されているにもかかわらず、炎上したアニメ(画)を起用した公的機関側が早急な幕引きを図って画像を差し替えたり削除したりして、「どういう経緯でこのキャラクターを起用したのか」「なぜ炎上を防げなかったのか」という議論が深まらずに問題が終息してしまうことだ。

    『のうりん』の美濃加茂市は、批判が出た以降、問題となったイラストを差し替えてスタンプラリーを実施。滋賀の自衛隊も、指摘があってから「スパッツではなくズボンのつもりだった」と釈明後、ポスターを全撤去し、起用した側と抗議した側の溝が埋まらないまま一つの過去の事例となってしまった。これでは何も学ぶことができず、ほとぼりが冷めた頃にまた新たな炎上が生まれるという悪循環から抜け出すことはできない。


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