「コロナで使い道がなくなった」超大型機A380をエミレーツ航空が飛ばし続ける理由

ドバイエアショー会場のA380
ドバイエアショー会場のA380

これを皮切りに、2000年にA380を発注した翌年には米国同時多発テロ、2003年のイラク戦争やSARS禍においても発注をキャンセルせず、大型機の導入を続けた。

2005年には当時史上最大額と言われたボーイング777を42機発注した。世界レベルのイベントリスクが起こるとそれをはね返すように機材増強を図る「強いエアライン」のイメージが浸透した。

エミレーツ航空は、エアバスとボーイング2社の航空機を導入しているところまでは市場動向通りだが、機種は長距離用のワイドボディ機のみ。

エアバスの超大型機A380とボーイングの大型機で747ジャンボジェット以降のフラッグシップ機777の2機種だけだ。それぞれ118機、134機を持ち、両機種ともに保有数が世界一となる。

世界レベルのハブアンドスポークを効率的に運用するのにシンプルかつ強力な輸送体制を整えた結果だ。

エアバスのワイドボディ機の占有シェアは25%、ボーイングでは23%の少数派だ。世界中の空を飛ぶ旅客機の中でワイドボディ機は4機のうちの1機の割合でしかない。

ワイドボディ機のみの機材構成を持つ旅客輸送エアラインは世界でエミレーツ航空のたった1社だけだ。他の全てのエアラインは近距離用にナローボディと言われる単通路機を併せて保有する。世界中を飛ぶA380機全体の機数でエミレーツ航空のシェアは48%にもなる。

空飛ぶ宮殿の体験とは

先述した通り、条件的にエミレーツ航空は大型機を志向することになった。話は少しそれるが、機内はどうなっているのか少し触れたいと思う。

エミレーツ航空のエアバスA380は、ファーストクラスに2室のシャワースパを設け、ビジネスクラスの後方には、バーカウンターとラウンジスペースまで作っている。

シート周りの豪華な装備も含めて「空飛ぶ宮殿」と言われるゆえんだ。今では、エミレーツ航空のサービス全体の呼称になっている。

エミレーツ航空A380のファーストクラス
エミレーツ航空A380のファーストクラス

現在、日本線に就航するボーイング777-300ER型は、「Game Changer」と名付けられたファーストクラスを超える「スイート」の装備を持つ最新型だ。王族の貴賓室かと思わせる2畳以上の広さ40平方フィートの完全個室空間は、1-1-1配列となり2列で6室が並んでいる。到着まで顔を合わせるのは客室乗務員だけとなる。プレミアムホテルの1室をコンパクトにまとめ、アメニティとプライベートバーをセットした「室内」だ。

搭乗したビジネスクラスに向かうと、意匠はファーストクラスに準じている。クリームやシャンパンの色彩があしらわれた上質なチェアに身体を休めるという言い方がふさわしいくつろぎがある。

4500チャンネルもあるという機内エンターテインメント「ice」システムを搭載する23インチのインフライトエンターテインメント画面は大きく、遠過ぎて届かないスクリーンゆえに、手元で操作できるハンディ機器に加えタブレットまである。シート周りには、ミニバーがあり、配られたアメニティはブルガリ製であった。

顧客対応で水準以上のサービスを受けることができるのは、世界160カ国以上から雇用した客室乗務員の存在が大きい。搭乗した便には日本人の他に、ウルグアイと日本のハーフの男性客室乗務員も乗務していた。

コロナ禍で乗客は減少したものの、こうした機材運用で世界の富裕層を取り込むことに成功している。それもエミレーツ航空が大型機を飛ばし続ける理由に挙げられる。


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