「コロナで使い道がなくなった」超大型機A380をエミレーツ航空が飛ばし続ける理由

エミレーツ幹部「需要のV字回復の時期にはA380がふさわしい」

話を戻そう。筆者はドバイエアショーの会場で、同社ナンバー4の役職となるChief Commercial OfficerのAdnan Kazim氏に単独インタビューする機会を得た。この取材からも同社が大型機を飛ばし続ける理由が浮かび上がってくる。

エミレーツ航空CCOのAdnan Kazim氏(筆者撮影)
エミレーツ航空CCOのAdnan Kazim氏(筆者撮影)

——コロナ禍によって社の戦略が変わるようなことはあるのでしょうか。

【Kazim氏】われわれはドバイという「世界の中心地」におり、世界の東西を結ぶ役割を果たしてきた。これはハブ&スポークでマーケットの開拓を行ってきたことに他ならない。今後も変わることはないだろう。他社は機内サービスを縮小しているところもあるが、エミレーツ航空では一切のコスト削減はしていない。

——コロナ禍で他社はA380を定期運航から外していますが、エミレーツ航空が使い続けている理由を教えてください。

【Kazim氏】需要予測として、現在は世界中の多くの人が早く旅に出たいと待っている状況だ。欧米でコロナ規制が緩和されたことが大きいとみている。多くのマーケットで予約が非常に好調に推移している。欧州主要国の中では特に英国とともに、フランス、ドイツ、スイス方面の需要が高い。

【Kazim氏】南アフリカも動いている。意外なところでは、ミラノ発ニューヨーク行きが好調だったりする。搭乗率が90%を超える便も出てきており、エコノミーよりもビジネスやファーストクラスの予約が増えている。需要の旺盛なところにA380を集中投下し、58機を稼働させている。コロナ規制緩和による需要のV字回復の時期にはA380がふさわしい。

「需要は他社よりも早く戻る」という確信

——コロナ後を見据えての将来展望を教えてください。

【Kazim氏】UAE政府は2025年までにこのエアショーが行われているドバイワールドセントラル空港の拡張工事の完成を約束してくれている。これによりさらなる増便や目的地の追加ができる。

コロナ禍のリスタートにおいて90%の就航地に飛ばすことができ、搭乗率は60%の水準にまで戻している。近い将来、さらに拡充できることは確実だ。コロナ禍前の水準に戻るのは2022年半ばだと予測しており、A380もさらに多くの目的地に飛ばしたいと思っている。

人々は長きにわたって旅行をすることができなかった。再び旅行したいと思う人々にわれわれのサービスは確実に響くと考えており、需要は他社よりも早く戻るだろう。われわれの前には明るい未来が広がっていると考えている。

Kazim氏へのインタビューは、同社の将来に向けての手応えが感じられ、世界規模の野心を目の当たりにした。物腰は柔らかで静かながら自信に満ちており、「ドバイは世界の中心」と言い切る姿勢には驚かされた。

エミレーツ航空が大型機を飛ばし続けるワケ

エミレーツ航空は2021年12月16日にエアバスからA380を受領した。2008年以来13年かけて全ての機体の受け取りを終えた。エアバスはA380の生産をやめており、これが最後の同型機だ。


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