なぜセブンは“最強コンビニ”なのか 「お客のため」ではなく「お客の立場」で考える

「これまでと同じ」ではお客様に満足してもらえない

良いものであれば、お客様は値段が高くても買ってくれます。セブン‐イレブンには「セブンプレミアム ゴールド」というブランドがあります。「金の食パン」や「金の直火焼きハンバーグ」といった商品。少し高いけれど、とことん味を追求しています。

よほど高ければ別ですが、パンでもハンバーグでも、おいしいものが出てくれば、いままで食べているものより高くても買うという人のほうが多いでしょう。

私が育ったのはモノが不足していた時代で、やはり値段で選んでいました。

だけど、それなりにお金を持つようになって、モノも豊富に出てくると、値段はあまり気にならなくなる。世の中が豊かになればなるほど、食べるものがたくさん出てくれば出てくるほど、よりおいしいものを求めるというのが人間なんです。

人間は、無意識であっても、常により新しいもの、より良いものを求めている。それに応えるためには、提供側も「これまで」に囚われていてはいけません。過去と同じものでは、お客様に満足していただくことはできないんです。

「経営者には発想のジャンプが必要だ」

みんな、「これはこういうもの」っていうところから外れられないんですね。

セブン銀行をつくったとき、銀行は平日朝の9時に開いて午後3時で終わってしまうものでした。時間の自由が利く人であれば行けますが、大体の人は仕事を抜けなくてはいけない。当時ATMはあったけれど、その営業時間も限られていました。

人の生活のサイクルはどんどん変わっていて、深夜まで働いている人もいる。近くに銀行がある人ばかりでもありません。それだったら、24時間、家の近くにあるコンビニでお金の出し入れができれば、そのほうが便利じゃないかと。だけど、みんな銀行というものは午後3時に閉めちゃうものだと決めてかかっているんですね。

私は「経営者には発想のジャンプが必要だ」と言っています。常に未来に焦点を当てて、向こう側から現在というものを見る。そうして「10年先にこうありたい」と思うのなら、そのためにいまはどういう判断をすればいいかを考える。

既成概念は、選択肢を狭める

新しいものを考えるとき、みんな過去のことを勉強しますよね。

そして、これまでにうまくいったやり方に頼る。あるいは、データを調べる。最近だったらコンピューターやITの進化で、簡単にビッグデータも手に入ります。

もちろん、何かしらの理由があるから、正攻法というのはつくられる。しかしこれらは、「既成概念」と言ってもいい。既成概念は、選択肢を狭めるんです。

私は富士山に登ったことはないけれども、登るとしたら、丹念に調べて、どこからどう行けばいちばん楽に、あるいは楽しく登れるかを考えます。一方で、「富士山とは吉田口登山道から登るものだ」と決め付けている人もいる。その結果は、相当違うものになるのではないでしょうか。

過去のやり方やデータに頼るような発想の狭さでは、お客様に新しいものを見せられないんです。

われわれは、自分たちが未来から考えることで、お客様にも未来を見せなくてはなりません。

日本初のコンビニエンスストア、そこで売られるおにぎり、24時間お金を下ろせるATM。すべて、「いま、ここにないもの」をつくったわけです。

そうでなければ、お客様は喜ばない。さっき言った通り、必ず飽きるんです、人は。仮にいま満足していたとしても、その先を見せなければいけない。


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