医療関係者は「他県の自宅療養は事実上の医療放棄だが、山梨は常に医療機関が症状悪化を把握できる」として、違いを強調する。これらの取り組みで自宅やホテルなどいずれの状況でも、効率よく医療を提供することができる。
こうした取り組みにより、医療崩壊を起こさない限り、感染防止策をとりながら経済活動を継続していくことは極めて合理的、というのが長崎氏の考えだ。
適用求める業界も
一方で、笛吹市の石和温泉地区の飲食店でつくる石和料理飲食店組合は、重点措置適用申請を求めて県庁へ陳情した。オミクロン株による感染の拡大で、飲食店などの客足が激減したため、休業や営業時間短縮の代償として協力金の支給を求めたいという理由だ。
県は、こうした状況に、政府が今年1月に設定した「事業復活支援金」の活用を求める方針だ。コロナの影響で売り上げを落とした事業者を対象に、中小企業に最大250万円をサポートする制度で、県も商工会議所などを通じ、申請を支援している。
県独自の医療提供体制と政府の資金面支援を効果的に組み合わせ、重点措置を使わず、「感染対策と経済活動の両立」(長崎氏)を目指す。(平尾孝)
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山梨県の新型コロナに対する医療提供体制
【入院】コロナ向けに389病床を確保。このうち重症者向けは24床
【医療強化型宿泊療養施設】ビジネスホテルなどに医師や看護師が常駐して診察、酸素吸入などの医療行為が可能。現在3施設で639室を用意
【宿泊療養施設】入院治療が必要ない軽症者や無症状者を対象にビジネスホテルなどで一定期間療養。看護師らが常駐。5施設で496室
【退所後ケア】宿泊療養施設入所患者で、重症化リスクが少なく無症状の場合、自宅へ戻って療養。地域の協力医が健康観察。食料などの支援物資を提供。1万5000円を給付
【ホームケア】無症状や自覚症状が軽微で、一定の条件を満たす場合、医師の判断で初めから自宅で療養。医師が体調データをオンラインでモニタリング。パルスオキシメーターや食料などの物資支援に加え、3万円を給付
【ファーストケア】感染が検査で判明後に療養方法が決まるまでの自宅待機を支援。食料などを提供






























