南海トラフ地震に備え「アレルギー対応の備蓄を」防災研究者

    原材料や調理法を決めるにあたり、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市で調査。その結果、「食べなれた地元の食材、料理で人心地ついた」との声が多かったという。このため、現在販売している20の商品は主に黒潮町はじめ高知県内の食材を用い、調理法も日常と同様の多様な味付けや食感を残すことにこだわり、子供や高齢者が好む甘味メニューも加えた。

    同製作所の友永公生さんは「災害時の避難は生活再建に向け元気を取り戻す時間でもある。このため被災者目線を大切にし、誰でも食べられる安全で身体にやさしい商品の開発に努めている」と話す。缶詰は各地の被災地に送られているほか官民の災害時備蓄品に採用。また、アレルギー対応で栄養バランスが良いことから高知市内で新型コロナウイルスに感染した待機者に配布されたという。

    家庭の備えが不可欠

    自治体の備蓄品ではアレルギー対応のミルク、アルファ化米、クッキーなどが一般的だ。これらは避難が長期にわたると栄養バランスの面で不十分だが、行政の対応にも限界がある。

    日本災害食学会顧問の奥田和子・甲南女子大名誉教授は「災害時は混乱する。誤食などによる被害がないように、行政はアレルギーをもつ人も困らない備蓄に取り組んで欲しい」としたうえで、「各家庭でも必要な備蓄品を確保し、災害時にどのように対処すべきか考えておく必要がある」と指摘している。(編集委員 北村理)


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