彼が今の商売に100%取り組む前は、バイクの世界で生きていた。まず潤滑油の会社に勤め、客先であるバイクメーカーのモトクロスなどのレースのサポートをした。その後には、バイクメーカーのマーケティングにも従事した。
実は、これらのバイクの仕事と並行してシードロを副業としてやっていた。しかし、2020年、パンデミックがおこり、客先のバーなどが次々と営業を停止せざるをえないなかでサバイバルするには、片手間ではできない。直接、消費者に売る必要も早急の策として出てきた。一方、バイクメーカーの職場環境があまり健康的ではなかった。
それでシードルに両足を突っ込むことになった。
したがって彼のキャリアは正確にいえば、バイクからシードロではなく、バイクとシードロの二股からの一本立ちである。もともとジンやビールなどが好きで、シードルに関心をもってきたのがきっかけだ。
もう少しチェーザレの過去を辿ってみよう。
彼は高校卒業までは勉強も順調だった。が、それから迷走があった。はじめは法学部に行く。それから別の大学の経済学部に行く。でも、どうしても学びに身が入らない。教科書を読んで勉強するのが自分に合っていないと思い始め、心理カウンセラーにも相談することがあったらしい。
その間、いろいろと仕事をしながら年数がたち、やっと自分が納得できる大学に入り直して経営学を学んだのは高校卒業後、5年を経てからだった。企業のケーススタディなど、自分の経験と勉強する内容が見事に一致したのである。
彼は学ぶのが嫌いなのではない。
本を読むのは好きだ。FIATを救った経営者・マルキオンネやナイキの創立者の生涯を描いた本は愛読書の一つだ。ただ、人生を描いたといっても「オバマの書いた回想録には気が入らない」というから、人生の語り方に徹底して拘るのだろう。プラグマティストである。
彼のこうした迷走も、次のようなエピソードを紹介すれば腑に落ちるに違いない。
































