≪STORY≫
「ヤクルト」に比べて腸内環境を改善する乳酸菌を、2.5倍以上増やした「ヤクルト400」の販売本数が堅調に伸びている。1999年1月の発売以来、右肩上がりで売れ続け、今では「ヤクルト」の販売本数を抜き去り、ヤクルトグループの乳製品で最大の売れ筋商品に育っている。ヒットの背景には、消費者の健康志向だけでなく「ヤクルトのブランド力を底上げしたい」という各部門の担当者たちの熱い思いがあった。
日本人なら誰でも知っている「ヤクルト」。戦前に生まれ、乳酸菌飲料の代名詞となったが、90年後半に販売の勢いに陰りが見え始めていた。「ヤクルト400」の開発は、こうした社内の危機感が背景にあった。
「(ヤクルト類に使われている)『乳酸菌 シロタ株』の力を最大限に生かした新しい商品をつくり、ヤクルトのブランド力を再構築したかった」と開発部開発課の増田智之主事は当時を振り返る。ヤクルトには生きたシロタ菌が1本当たり150億個含まれる。新商品は、ヤクルトを大幅に上回る「400億個を盛り込む」ことが決定。開発部を中心に各部門の担当者からなるチームが編成され、総力を挙げた開発が始まった。
新商品は最終製品という性格上、品質はもちろん、パッケージやネーミングにもとことんこだわった。
(次ページ)美しさと質感 ヤクルトよりもグレードが高い商品