健康を意識した飲料は、同じ市場での競争が厳しくなっている。ただ、400はヤクルトレディという独自の宅配ルートで販売。真っ向から競合する商品が見あたらず、一定の競争力を保持できる強みがある。
≪FORM WRITER≫
「農耕型マーケティング」という言葉が印象的だった。新商品の発売とともに広告などを大量に投下し、一気に回収をはかる戦略とは対照的に、長い期間、「地道に価値を訴求」(広告部制作課の杉田宏之課長)して、少しずつ需要を掘り起こしてきた「ヤクルト400」の販売戦略が、この言葉に象徴されている。
そういう中で、多くの消費者がヤクルト400という商品を高く評価し、愛用していることが、1日当たり300万本超という販売量につながっている。
それを実現したのは、ヤクルトレディによる宅配という独自性の高いビジネスモデルだ。ヤクルト本社が加速している海外展開でも強力な武器になるヤクルトレディは、海外にも、国内の人数に近い約3万8000人がいるという。クリック一つで品物が届くインターネット販売も便利だが、対面販売の価値を重視しているヤクルトのビジネスモデルの普遍的な価値は、今後もたびたび再認識されていきそうだ。(高橋寛次)
≪KEY WORD≫
ヤクルト400
ヤクルト本社が1999年1月に「ヤクルト」のグレードアップ版として発売した乳酸菌飲料。ヤクルト(65ミリリットル)1本に150億個含まれている生きた乳酸菌(ヤクルト菌)が、1本(80ミリリットル)に400億個以上含まれている。ヤクルトと同じ特定保健食品で、腸内環境を整える効果がある。
初年度の販売目標は1日当たり150万本。2倍以上の同300万本を販売している(LTを含む)。
全国で、ヤクルトレディによる宅配で販売されており、小売りはしていない。価格は1本70円(税別)。