JR東海の旅客運輸収入【拡大】
公共投資増なら足元強固に
日本が世界に誇る「夢の高速鉄道技術」が来年、実用化に向けて大きな一歩を踏み出す。2027年に東京-名古屋間の開業を目指しているリニア中央新幹線計画が、山梨県の実験線でいよいよ営業仕様車両による走行試験に入り、14年度の建設着工への準備も本格化する。
計画は国の財政が厳しい中、早期着工にこだわったJR東海が事業費を全額負担する異例の方式で進む。ただ、16日投開票の衆院選では、防災や経済対策の観点から公共事業の推進を掲げる政党もあり、新たな政権の枠組みによってはJR東海のリニア戦略も影響を受けるかもしれない。
「今は8合目。頂上へ行くには、これからが大事なところ」
先月22日、JR東海の山梨リニア実験線車両基地(山梨県都留(つる)市)に、営業仕様のリニア新幹線新車両「L0(エルゼロ)系」が搬入される様子を眺めながら、遠藤泰和執行役員山梨実験センター所長は改めて気を引き締めた。