平成19年に事業を始め、これまでに約3000人の乳房をつくってきた。
同社の技術は医療機関から高い評価を得ており、現在、約600の病院が同社のパンフレットを置いている。製作を依頼する患者の大半は病院の紹介という。
「不可能」はない
当初、医療機関の乳腺外科に出入りしていたが、事業を始めて1年あまりたったころ、形成外科の医者から声がかかった。病院内で同社の精巧な技術が話題となり、「乳房ができるのなら、身体の他の部位も製作できるのではないか」という相談だった。
具体的には、「漏斗(ろうと)胸」という、胸の中央部分がくぼむ症状の小学生女児についての相談だった。
女児は、胸がへこんでいることがコンプレックスとなり、水着姿になるのを嫌がるようになった。
相談を受けた池山社長は人工乳房の技術を応用し、くぼみが目立たなくなるよう、同年齢の女児と同じぐらいの胸の膨らみを人工的につくった。
さらに、体の成長に合わせて膨らみに注入するゲル状物質の量を増やす工夫も編み出した。