【九州の礎を築いた群像 西鉄編(3)】国際物流 「本社に顔向けいらん。世界で勝負しろ!」 業界のパイオニア 伝統は「攻めの経営」 (4/7ページ)

2013.10.27 22:24

 最初に取り扱った荷物は、福岡発ロサンゼルス行きのツツジ11本、ツバキ2本の苗木だった。24年には日米親善の一大事業として、米国の動物園のピューマと、東京・上野動物園のタンチョウヅル、オオサンショウウオの交換輸送を担当した。

 戦後の混乱期、他の私鉄が本業の再建に追われる中、西鉄は国際物流で「攻めの経営」を続けた。26年にサンフランシスコ講和条約が締結され、日本企業の民間航空機輸送が解禁されると、日本航空発足に際し、西鉄は出資し、役員を送り込んだ。27年には国際物流の本部機能を東京に移転し、パンナム以外の欧米・アジアの航空会社とも代理店契約を次々に結んだ。

 朝鮮戦争特需もあり、市場規模は急拡大した。西鉄航空輸送部門の27年度の売上高は2300万円(西鉄の0・4%)だったが、37年度は2億8600万円(同2・1%)に膨らみ、航空貨物輸送の取扱高トップを独走した。前年の36年には日通に続き、ニューヨーク駐在事務所を開設している。

 野中の後任の第6代社長、木村重吉(故人)は昭和33年の年頭あいさつで厳しい表情でこう語った。

 「独占性にあぐらをかくな! 航空貨物は東京地区が拠点にもかかわらず取扱高で業界1位になっている。私は航空社員たちの努力を評価しておる」

 すでに福岡県内の鉄道・バス事業で不動の地位を築いていた幹部社員の慢心を戒めたかったのだろう。

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