花王は徹底した品質管理システムや、顧客からの情報を吸い上げる仕組みを持つ。だが、独立性を尊重するあまり、カネボウ側の製品には、花王のシステムが全く生かされていなかった。夏坂社長のざんげは、両社の一体化が果たされていれば、早期に改善が可能だったという問題の本質を浮き彫りにした。
回収後1カ月で対応
問題を重くみた花王は“遠慮”をぬぐい去り、急速に一体化へ舵を切った。
自主回収発表のわずか1カ月後には、花王とカネボウの品質管理部門を一体化。続いて研究・生産態勢の一体化も発表し、花王によるカネボウの取り込みを加速した。
迅速な危機対応が可能だったのは、かねてから沢田社長がカネボウの独立経営に対し、問題意識を抱えていたからだ。