「(花王とカネボウが)一つ屋根の下で、もう一段高い経営をするには、一体化しなくてはいけないという意識を持っていた」
沢田社長はこう打ち明ける。過去に先送りしてきた両社の一体化は、白斑問題で焦眉(しょうび)の急となった。
ただ、改革に向けた道のりは決してスムーズではない。研究開発や生産と違い、消費者に直接、カネボウらしさを伝える役割を担う販売部門の一体化は、まだ今後の課題だ。
「花王の『ソフィーナ』と『カネボウ』という2つのブランドの“らしさ”を出して大きな化粧品の世界を築き、グローバルに展開したい」(沢田社長)というように、一体化とブランドの個性の両立という相反する課題の解決には、まだ時間がかかる。
白斑問題の被害者に対する補償問題と並行して進められる、真の統合に向けた諸施策のハードルは、予想以上に高く険しい。(兼松康)