【九州の礎を築いた群像 西鉄編(6)】バス事業 「今は赤字でも車を買え!投資しろ!」 第3の事業が「日本一」に (5/7ページ)

2013.12.9 22:37

 楢橋は、松永の説いた「科学的経営」の信奉者だった。この言葉を忠実に実践し、松永が目指した「交通ネットワークの拡充」を実行していった。病気で目がほとんど見えなくなったため、28年に退職するが、その意志は部下たちに受け継がれていった。

   × × ×

 昭和20年代後半から30年代末にかけ、九州の幹線道路でアスファルト舗装が急ピッチで進んだ。バス事業拡大の好機と踏んだ西鉄は全国に先駆け、近隣県のバス会社と相互乗り入れ協定を結び、県境をまたぐ中・長距離バスの拡充を進めた。25年には福岡-大分間で長距離バスを、37年には福岡-熊本間の特急「ひのくに」の運行を始めた。

 路線拡充の先頭に立ったのが、入社数年目にして楢橋の特命チームで薫陶を受けた後の第12代社長、大屋麗之助(90)と後の専務、西川宏(故人)だった。二人は同期入社で仲がよく、東京帝国大学第一工学部出身の大屋は、長距離化に伴う車両改良など技術面の強化に大なたを振るった。文系の西川は県外バス会社との交渉など営業面を指揮した。

 東京五輪が開催された39年度には、乗り合いバスの車両数は2233台となり、乗客総数5億2千万人、走行距離1億2千万キロに達した。この年の運賃収入は94億6千万円にのぼり、グループの営業収益の54%を稼ぎだした。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!