高速バス網は一時よりやや縮小したとはいえ、現在も26路線で1日1100便を運行する。年間乗客総数700万人を超え、運賃収入は80億円に上る。
51~57年にはバス以上に大赤字だった路面電車の廃止が進んだことから、バス利用客が大幅に増えた。また、マイカーによる交通渋滞に業を煮やした行政側が「バス優遇」へと態度を豹変(ひょうへん)させ、福岡市や北九州市などの都心部で乗り合いバス専用レーンを設けたことも乗客増加を後押しした。56年度には乗り合いバスの乗客総数は4億2千万人まで回復した。
だが、それもつかの間。56年に福岡市営地下鉄の天神-室見間が開通、その後も延伸が進むに従い、乗客数は再び急下降した。
61年以降は過疎地域での不採算路線を次々に子会社化するなど手を打ったが、62年度にバス部門は初の営業赤字に陥った。
このまま「バス離れ」が進めばバス事業の大幅縮小は避けられない-。危機感を募らせた西鉄は新たな乗客の開拓を目指し、大胆な策に打って出る。(敬称略)