時代のニーズにはまった「ストロングゼロ」シリーズの販売実績は、発売2年目に1億6000万本(350ミリリットル換算)と前年比55%増、3年目は47%増の2億3500万本とうなぎ上りだった。
また、働く女性の増加などを背景に、家でお酒を飲む女性がさらに増えつつあった。商機を見いだした開発陣は、チューハイの王道であるかんきつ以外のフレーバーは安易に手を出すべきではない、というそれまでの常識を乗り越え、旬の果物を用いる季節限定商品の開発にも着手した。
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マイナス196℃製法は、アルコール分60%のリキュールに浸漬することで果皮の味わいも抽出する。それだけに「リアルな果実感を再現できる半面、苦みを爽やかなレベルにとどめる最適な浸漬時間やリキュールの配合に苦労する」と、開発研究担当の川本憲良さん(33)は説明する。
その解決には、素材ごとに試作を繰り返すほかなかった。試行錯誤を重ね、リンゴやブドウ、モモなど女性が好む果実を使う新商品を送り出した。
「-196℃ ストロングゼロ〈DRY〉」では、アルコール由来のエタノール臭を消すための新たな工夫がある。マイナス196℃製法の浸漬酒に通常の果汁を加え、炭酸圧のバランスをビール並みに強めたことだ。
その結果、昨年の「ストロングゼロ」シリーズの販売数は3億5700万本。アルコール分8%超の缶チューハイ市場で、ストロングゼロシリーズのシェアは6割超と圧倒的な強さをみせた。