≪STORY≫
ミルクの素材を生かした濃厚でなめらかな味わいとすっきりした後味が特徴の森永乳業のアイス「MOW(モウ)」。昨年3月に発売10周年を迎えたが、当時の製品コンセプトは今もさびついていない。乳業メーカーとして、「濃厚なミルクをそのままに消費者に伝えたい」という開発陣のさまざまな創意工夫が込められているからだ。
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モウが生まれた前年の2002年。国内アイスクリーム市場は、過去最大を記録した1994年より約1000億円減少するなど、低迷期にあった。紙カップに入れたバニラアイスで、森永乳業がヒット商品を出せなかった時期と重なる。競合メーカーとの差別化がうまくいかなかったからだ。
だが、紙カップアイスはアイスクリーム市場で大きな比重を占めており、後ずさりは許されない。他社に負けない「独自資源」を模索する森永乳業の挑戦が始まった。
当時、一般のスーパーなどで売られているバニラアイスは、卵が豊富に入ったカスタード系が多かった。メーカー側からみれば、バニラアイスに卵を入れれば香料としてのバニラの味が際立ち、高級感が出せるからだ。
森永乳業は、インターネットで1000人規模のアンケートを実施。バニラアイスの印象について聞いたところ、「ソフトクリーム」という回答が約7割に達した。別のアンケートでは、「ミルク」と「カスタード」の味を求める人がほぼ同数だったほか、約8割が「なめらかな食感」を好むという結果が出た。