これらの結果から、消費者がソフトクリームのようななめらかな食感で、ミルク系のアイスを求めていることが分かった。乳業メーカーとしての強みを生かし、ミルクのおいしさを際立たせたアイスという方向性が定まった。開発に関わったマーケティングの担当者は、最初の1、2カ月、東京都内でソフトクリームを販売する有名店約100店を訪ねて味を調べた。店内に計量カップと計測器を持ち込み、ソフトクリームの重さも調べた。一度に食べるに適した容量を知りたかったからだが、人目を忍んで計測器とにらめっこをする姿は、他の客から好奇の目にさらされたようだ。当時、100円で売られているカップアイスの容量は200ミリリットルが主流だったが、このときの調査で平均容量が150~170ミリリットルであることが分かり、モウの容量設計に生かされた。200回以上の試作を繰り返し、03年3月、モウの発売に踏み切った。
ソフトクリームから学んだモウのおいしさとは何か。12年からモウのブランドマネージャーで、冷菓マーケティンググループ リーダーの宇田川史郎さん(32)は「口溶けが良く、素材の味わいが濃厚に感じられながら後味がすっきりとしている。これが消費者の求める味だ」と断言する。
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モウの開発チームがこだわったのが、原料と製法、包装の資材だ。
原料では、液状乳原料や糖の配合を工夫し、ミルクの濃厚な甘さを実現した。香料の研究にも余念がない。人間が食物の香りを感じるのは、鼻を経由するものと、のどから鼻に抜けるものがある。食品総合研究所では、唾液(だえき)で食物を咀嚼(そしゃく)する行為と同じことができる機械を用いて、人間がどういうときに口腔内からのミルクの香気を感じるのかを成分分析し、その香気成分をモウに取り入れたのだ。