一度に食べるに適した容量を知りたかったからだが、人目を忍んで計測器とにらめっこをする姿は、他の客の好奇の目にさらされたようだ。当時、100円で売られているカップアイスの容量は200ミリリットルが主流だったが、このときの調査で平均容量が150~170ミリリットルであることが分かり、モウの容量設計に生かされた。
モウの開発チームがこだわったのが原料と製法だ。
原料では、液状乳原料や糖の配合を工夫し、ミルクの濃厚な甘さを実現した。香料の研究にも余念がない。人間が食物の香りを感じるのは、鼻を経由するものと、のどから鼻に抜けるものがある。森永乳業の食品総合研究所では、唾液で食物を咀嚼(そしゃく)する行為と同じことができる機械を用いて、人間がどういうときに口腔(こうこう)内からのミルクの香気を感じるのかを成分分析し、その香気成分をモウに取り入れた。
製法では、液状の乳原料などを撹拌(かくはん)し、ミクロン単位の氷結晶やクリームの脂肪球、気泡などが均一に分散した半固体状態にする「フリージング」と呼ばれる工程に着目。フリージングでできた小さな氷が大きくならないように急速に冷やす技術を考案した。