「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」で、洗練されたダイニングキッチンに生まれ変わった東豊中第2団地の室内=大阪府豊中市(上)(ムジ・ネット、都市再生機構提供)。外観は築40年以上の団地(下)だが、安い賃料と広さ、内装の充実で若者から人気を集めている【拡大】
当時、「合理的で機能重視」な住まいとして建築されたURの団地は、「簡素・簡潔、無駄を配する」(田鎖氏)という無印の商品づくりの考え方にも合致していた。「団地」と「生活スタイル」のプロ同士のコラボは昨年度、グッドデザイン賞も受賞。いわゆる「デザイナーズ物件」に決してひけをとらないことを証明してみせた。
シェアハウス、女子大とのコラボ、新商品販売も
大阪で始まったURと無印のコラボ団地。「日本の住まい方を変えていける」と大西誠・UR都市機構西日本支社長が自信を見せるこの事業は、昨年末までに大阪の3団地36戸で入居者を募集。結果、申込者の7割が20~30代で「こんなことは初めて」と、関係者を感激させた。
新千里西町団地(豊中市)では昨年11月から、20代の男子大学生ら3人が「シェアハウス」として共同生活する様子をネットを通じて発信。若者による地域コミュニティー再生も進めている。コラボ相手も無印だけでなく、京都女子大と築30年以上の「洛西竹の里団地」(京都市西京区)リノベーションにも取り組んだ。
建て替えや大型改装よりも経費は少なく、新しいビジネスモデルとして期待できるコラボ団地。今年、「無印」コラボ団地は首都圏にも進出し、東京都板橋区の高島平団地(15戸)を含む3団地37戸で入居者を募集した。今春からは、全国の無印良品の大型店舗を中心に、コラボ事業を通じて誕生した共同開発商品の販売も新たに始める予定で、コラボを通じたビジネスチャンスは拡大している。
古くて使い勝手が悪く、敬遠されていた「団地」を人気物件に変えるリノベーション。現代のニーズをいかに取り込みながら展開できるか、今後が注目される。
(西川博明)