その成果はすぐに現れた。空中を舞う花粉は、やがて自然に落下し、目の上方から中へ入る。そこで両国眼科クリニックの深川和己医師に協力を依頼。花粉に見立てた蛍光パウダーを、眼鏡をかけた人頭模型の上からふりかけ、飛散する様子を再現した。飛散の様子をより正確に把握し、花粉Cutがどれだけ浸入を防いでいるか、分かりやすく示してみせた。
こうした実験を重ねることにより、限界と思われたカット率は98%とさらに向上した。これは一般的な眼鏡(51%)の2倍近い水準だ。
実験で使った疑似花粉は30マイクロメートルから40マイクロメートルの本物より小さく、黄砂(約4マイクロメートル)とほぼ同じ大きさ。黄砂から身を守る上でも効果があることになる。
デザイン面も新機軸を打ち出した。3次元データを入力し、立体物を作製する3Dプリンターの導入だ。
デザイン性の向上と一口に言っても、実際には製造のしやすさやコストを考慮する必要があり、図面を引くだけでは終わらない。たとえば金型をスムーズに抜くための「抜き勾配」と呼ぶ傾斜を設けなければいけないなど、さまざまな制約が立ちはだかる。このため、開発するごとに膨大な量の試作品が生み出されるのが常だ。
それまでは試作するごとに金型メーカーへ発注していたが、3Dプリンターの導入はデザイン現場での試作を可能にした。