製紙5社が手がける主な新規事業分野【拡大】
北越紀州製紙は14~16年度の中期経営計画で「新規分野の創造」「事業構成の変革」を打ち出した。これを担うのが特殊紙事業本部。なかでも12年9月に買収したフランスのデュマ社とともに事業化を進めてきたガラス繊維シートが1つの柱として芽を出そうとしている。例えば、3マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートル以下の極細ガラス繊維を使い、より微細なごみを吸着できるフィルターとして使われ始めた。
ニッチで高付加価値
「ニッチだが、世界的プレーヤーも限られる。付加価値が高いため、フランスと長岡(新潟県)での生産で、市場が世界のどこでも輸送コストを負担できる」と同本部の川島嘉則本部長は強調する。デュマ社との一体化が、取引先拡大のきっかけになったという副次効果も生み、20年度までに100億円規模の売り上げを目指す。
大王製紙は、セルロースナノファイバーの開発やサンプル提供に加え、電子分野の高機能材やタイヤ原料となるリグニンブラックの開発に注力。14年3月期に大幅減益となった三菱製紙も、化学繊維由来の車内用フィルターの生産を今月からメキシコで開始、日・中を合わせた3極体制を整えた。4月には不織布由来の留置針固定テープで医療機器事業にも参入した。
日本の人口減少に加え、洋紙のコモディティー化で、これまで製紙メーカーの屋台骨を支えてきた洋紙事業に代わる新規事業の育成が急がれる。それだけに、その成否が製紙各社の行方を大きく左右しそうだ。(兼松康)