アナリストは「危機を招いた舞台は液晶パネル事業部門だが、経営判断の基になった市場動向の予測などに甘さがあり、そもそも当時のトップが経営判断を下す際に市場動向をきちんと見極めたかという問題も直視すべきだ」と指摘する。
暗黒時代の悪弊
液晶テレビが売れに売れた絶頂期、シャープの商売には強引さや身勝手さが目立った。ある関係者は「すべてとは言わないが、多くが現場を見ていない本社のエライ人たちが“机上の空論”で指示してきたことを事業部門が押し返せなかったことで起きた」と打ち明ける。
堺工場は当初、パネルの販売先の確保という意味もあってソニーと共同出資する合弁会社で運営する予定だったが、シャープの液晶テレビ販売が好調なときに自社向けの液晶パネルを優先してソニーへの出荷量を落としたことがあり、ソニーの不信感につながった。結局、ソニーとの共同出資は破談となった。
別の大手家電の調達も滞らせたこともあり、この会社の幹部は「自分の目の黒いうちはシャープからパネルは買わない」と激怒したこともあるという。