新事業推進本部が取り組む5分野【拡大】
帝人が、素材や医薬品など傘下事業の「領域融合」による新事業の立ち上げを本格化している。今年4月にグループ内の事業や技術の橋渡し役を担う「新事業推進本部」が発足。10月には領域融合の第1弾となる医薬品の治験に向け、岩国事業所(山口県)に約20億円を投じて新製剤棟を着工した。新事業推進本部は幅広い領域を手掛けるグループの総合力を生かし、将来の成長の芽を育てる。
治験に向け新製剤棟
2015年秋に完工する予定の新製剤棟は、融合第1弾の外科手術時の止血や肌などの接着に使うシート状接着剤を作る。血液の凝固成分であるタンパク質「フィブリン」を湿布薬ほどの薄さの不織布に織り込み、従来の液体接着剤よりも止血時間を大幅に短縮して患者の負担を軽減。生体分解性のあるシート状のため凹凸のある患部にも使え、術後は体内が吸収し、外科医の負担も減らす。
新事業推進本部の河端浩・ヘルスケア新事業推進班長は、「素材技術が医薬品の付加価値として生かせるはずだという意気込みが形になった」と述べる。実際、16年にも治験を始めるシート状接着剤は、帝人の素材・医薬品両分野の技術融合の結晶だ。