新事業推進本部が取り組む5分野【拡大】
共同開発する化学及血清療法研究所の遺伝子組み換えタンパク質を、素材加工技術でナノ(10億分の1)メートル近くの微細な繊維に熱などを使わずに織り込み。医薬品製造の技術を生かして、組成を壊さない滅菌法も編み出した。
帝人が領域融合を進めるのは、「競合企業に対して、どうすれば特徴を出せるかという危機感」(河端氏)からだ。ヘルスケア事業は、注力する骨粗鬆症(こつそしょう)市場で治療剤「ボナロン」がジェネリック医薬品(後発薬)の影響で販売が伸び悩んでいる。電子材料事業も価格競争が激しくなっており、製薬や電子材料の専業企業には難しい領域融合で差別化を図る狙い。
また、グループ内の事業会社間の垣根が高くなり、総合力が発揮されにくくなったことへの反省もある。03年に事業持ち株会社制度に移行した帝人は、傘下の9領域ごとに事業会社を設立。事業会社間の共同開発などで秘密保持契約が必要になるなど「動きがぎくしゃくしていた」(河端氏)。