中村氏は、日亜化学に勤めていた平成2年に青色発光ダイオード(LED)の製造装置に関する技術を開発。日亜化学は特許出願後、青色LEDの世界初の製品化に成功した。この製品化が飛躍のきっかけとなり、売上高は2年の200億円弱からが14年には5倍以上の約1160億円と急成長を遂げた。にもかかわらず、中村氏が手にした日亜化学からの報奨金はわずか2万円。米国人の研究者からみると「企業の奴隷」だったのだろう。
現行の特許法では特許権は開発した社員のものになるのが原則で、企業に譲渡する場合は「相当な対価」を受け取れる。中村氏は退職後の13年に特許の正当な報酬を求めて日亜化学を提訴。16年1月に東京地裁で産業界に衝撃をもたらす判決を勝ち取った。判決は、青色LED製品で日亜化学が得た「独占の利益」を約1208億円と算定。その上で中村氏の貢献度を50%を下回らないと判断し、約604億円を対価と認定した。その結果、中村氏が求めた金額200億円を請求通りに支払うことを日亜化学に命じた。