また、「開発した人間だけが優遇される」(知財専門家)特許法を疑問視する声も目立つ。ある製薬会社幹部は「特許を取得したから製品が売れるわけではない。スタッフや研究設備を整備し、販売努力もあって初めて企業の収益が生まれる」とした上で、「特許の対価はそもそも開発者だけでなく会社全体、従業員全員のものだ」と訴える。
「日本人がノーベル賞を受賞し、受賞理由が中村氏を含む多くの日亜化学社員と企業努力によって実現した青色LEDであることは誇らしい」
中村氏のノーベル賞受賞を受け、日亜化学が出したコメントに企業側の思いが浮き彫りになっている。
頭脳流出の危機
ただ、今回の特許庁の方針に基づく特許法改正により、社員の権利が低下し、優秀な研究者の海外に流出する事態が加速する恐れが高いのも事実だ。
特許庁は、そうした事態を避けるため、特許権を企業に移行するだけでなく、金銭や昇進、留学など報奨に関する社内規定を決めることを義務づける方針だ。