アベノミクス効果
そんな中、日本の造船メーカーが息を吹き返しつつあるのは「アベノミクス」による円安で受注競争力が回復したことと、さらに数年にわたる構造調整、いわゆる統廃合でコスト競争力を高めたことが大きい。もちろん品質が高く、納期をしっかり守るといった日本企業の優れた面が支持されていることもある。
統廃合の動きとしては2013年に、今治造船と三菱重工業がLNG船舶部門を切り離し、LNG船を専門に製造する「MILNGカンパニー」を設立。同年には、アイ・エイチ・アイマリンユナイテッドとユニバーサル造船が合併し、世界4位となるジャパンマリンユナイテッド(JMU)が誕生した。さらに、昨年10月には、名村造船所が佐世保重工業を子会社化し、国内ではJMUに次ぐ規模になった。
三菱重工業は、先日フィリピン・レイテ島近くのシブヤン海で、沈没から約70年ぶりに発見されたとされる戦艦「武蔵」を建造した長崎造船所で手掛ける造船事業を、今年10月1日付で分社すると発表。LNG船などを建造する全額出資会社と、船の部品となる船体ブロックを製造する事業会社を設立することを決めた。