大塚家具の大塚久美子社長と父で創業者の勝久会長が繰り広げている委任状争奪戦(プロキシーファイト)は、27日開催の株主総会で決着する。気軽に入れる店づくりを目指す久美子氏の「カジュアル路線」に対し、接客に注力して家具一式を売り込む勝久氏の「高付加価値路線」と、両者は経営方針でも真っ向から対立する。果たして株主は、どちらを選ぶのか。
「これからの『住』需要に応えるビジネスを構築する必要がある」。今月13日の会見で、久美子氏は改めてこう主張した。目指すのは、勝久氏が作り上げた販売手法からの脱却だ。
勝久氏は、顧客が氏名や住所を記す「会員制」を採用。店内で、店員が顧客に付き添って「まとめ買い」を勧める方法で成長してきた。
これに対し、久美子氏は住宅着工が減っている市場環境に合わなくなっていると指摘。2月下旬にまとめた中期経営計画で、気軽に見て回れる店を作り、「単品買い需要の呼び戻し」を進めることを訴えた。
勝久氏は、今月上旬発表した企業価値向上策で、「安易な低価格路線で、収益力の低下につながる」と批判。フジサンケイビジネスアイのインタビューでも、「2世代、3世代で家具を購入する顧客には大型のショールームで、専門知識を持った社員が説明する必要がある」と述べ、従来の販売手法を続ける考えを示した。