一時は中部電力管内にも営業の攻勢をかけ、「トヨタ自動車グループに電気購入先の乗り換えを勧めに来た」(中部電関係者)との情報もかけめぐった。「手を抜いたら関電に取られてしまうという恐怖感があった」。元中部電幹部はこう話す。
ただ、“原発依存”の経営戦略は福島第1原発事故のため裏目にでた。原発停止の長期化で、代わりにフル稼働する火力発電所の燃料調達コストが急増。その影響で関電の電気料金は上昇。昨年末に申請した値上げ幅で再値上げされると、全国最高水準となる計算だ。すべての解決は原発の再稼働にかかる。「原発の再稼働に全力で取り組む」。八木社長が繰り返すのもそのためだ。
新時代の模索続く
「将来も原発の規模は一定程度必要。今も建設したい気持ちは変わっていない」
3月17日に行われた美浜1、2号機の廃炉決定の発表。関電の担当者は、後継機の新設に意欲を示した。