ただ、カリスマ経営者の独断専行を否定する高橋社長はあくまで社員の自主性を重んじるため、強制命令はあえて“禁じ手”にしている。このため、業界には「社員をやる気にさせるのが高橋流。ただ、やる気にならない社員は放置」という指摘がある。
岐路
治療にたとえると、巨額赤字に沈んだシャープは重病人だった。稼働率の低下と大量の在庫に苦しんでいた堺工場(堺市)を台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業との合弁にして連結対象から外したり、3千人規模の希望退職や海外工場の閉鎖などを進めたりする外科手術の結果、小康状態になっていた。
その段階で就任した高橋社長は社風と社員の意識改革という漢方薬的な処方で1年目の26年3月期は黒字転換を果たし、中期経営計画の進捗次第では退院も見えてくるところだった。