「NTT再編の基本方針」は反故 淘汰の波にのまれた新電電 (1/4ページ)

2015.4.25 06:44

2006年3月、ボーダフォン買収会見で、握手するビル・モロー・ボーダフォン日本法人社長(左)、孫正義・ソフトバンク社長(中)ら

2006年3月、ボーダフォン買収会見で、握手するビル・モロー・ボーダフォン日本法人社長(左)、孫正義・ソフトバンク社長(中)ら【拡大】

【通信大競争 30年攻防の行方】(5)

 「会社を何だと思っているのか」

 1996年秋、総務庁(現総務省)の行政改革委員会規制緩和小委員会に怒声が響いた。委員の田中直毅(69)が発した「新電電の役割は終わった」という言葉に、国際通信系新電電の日本国際通信(ITJ)幹部がかみついたのだ。

 85年のNTT民営化後、相次いで誕生した新電電各社の長距離・国際電話サービスにより電話料金は下がった。苦しい経営が続くITJには田中の無神経な発言は看過できなかった。

 ITJは三菱商事など大手総合商社と松下電器産業(現パナソニック)、東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)など7社が主要株主となり、86年に発足した。ITJに続いて伊藤忠商事・英C&W連合の国際デジタル通信(IDC)も国際通信市場参入を表明した。

 ただ、85年度の通信市場の規模は、国内通信のNTTが5兆1000億円なのに対し、国際通信のKDD(現KDDI)は2200億円とわずか5%足らず。郵政省(現総務省)はITJやIDCに一本化を促したが、外圧も強まり調整は失敗。KDDを含む国際系新電電3社は、小さな市場を奪い合い、競争激化による淘汰(とうた)の波にのみ込まれた。

「私の使命は日本テレコムとJ-フォンを切り離すことだった」

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