「NTT再編の基本方針」は反故 淘汰の波にのまれた新電電 (2/4ページ)

2015.4.25 06:44

2006年3月、ボーダフォン買収会見で、握手するビル・モロー・ボーダフォン日本法人社長(左)、孫正義・ソフトバンク社長(中)ら

2006年3月、ボーダフォン買収会見で、握手するビル・モロー・ボーダフォン日本法人社長(左)、孫正義・ソフトバンク社長(中)ら【拡大】

 田中発言から1年後の97年、ITJは日本テレコムに吸収され、わずか10年で消滅した。

 外資参入と転変

 2002年5月、世界携帯大手の英ボーダフォン傘下の持ち株会社、日本テレコムホールディングス発足が決まった。社長のビル・モロー(55)は部下に「シャンパンを買ってきてほしい」と頼んだ。普段は物静かなモローだが、この日はうれしそうに高級シャンパンを飲み干したという。

 表向きはグループの新体制を祝っての乾杯だったが、モローの表情には本社からの指示を達成した高揚感が見てとれた。日本テレコム幹部は、苦々しい気持ちをかみ殺していた。

 同社役員だった弓削(現真木)哲也(63)=現移動通信基盤整備協会専務理事=によると、ボーダフォン社長に昇格して英国に戻る際、モローは「私の使命は日本テレコムと(子会社の携帯電話事業者)J-フォンを切り離すことだった」と打ち明けたという。

 ボーダフォンは念願の携帯電話事業だけを手に入れた。固定通信事業者の日本テレコムはその後、米投資ファンドのリップルウッドを経て、ソフトバンクに買収された。J-フォンを手に入れ社名変更したボーダフォン日本法人も、不振が続いた。

事業再編の中で4回のM&Aを経験し「あまりにめまぐるしかった」と漏らす

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