ソフトバンク参入で激変した市場 業界にADSL“旋風”巻き起こした孫社長の執念 (2/5ページ)

2015.4.28 06:36

ソフトバンクは従来の半値でADSLサービスに参入。モデムを無料で配り、シェアを伸ばした=2002年10月、東京都渋谷区(同社提供)

ソフトバンクは従来の半値でADSLサービスに参入。モデムを無料で配り、シェアを伸ばした=2002年10月、東京都渋谷区(同社提供)【拡大】

 ソフトバンク社長の孫正義(57)は通信業界の“慣例”と正面衝突すると、しばしば物議を醸す行動に出た。現在、首相秘書官を務める山田真貴子(54)も孫の言動に驚いた一人だ。

 ソフトバンクのADSLサービスはNTT局舎内の工事が遅れた影響で開始時期がずれ込み、契約者のクレームが総務省の消費者苦情センターに殺到。センターの室長だった山田は2001年6月、孫を呼んで「ここには10人のスタッフがいるが、ソフトバンクへの苦情相談がさばき切れない。迅速に開通してほしい」と要請した。

 話を聞いていた孫は急に激高し「この状態が続くなら僕は終わりだから、事業をやめると記者会見して、その帰りに総務省の前でガソリンをかぶる」と大声を張り上げた。同席していたソフトバンクの宮本正男(67)は「NTTの工事遅延を防ぐためのルールを総務省が作らないからだという気持ちが強かったと思う。ただ、ガソリンは前にも聞いたせりふだった」と当時を思い出し、苦笑する。

 10年5月に開いたスマートフォンの発表会でも孫は「ツイッターにフィルタリングをかけたら、総務省にガソリンをぶっかけて火をつける」と発言。ネット上でも批判され、ツイッターで「不適切発言おわびします」と弁明したものの、「ガソリン発言」は業界に響き渡った。

「孫さんは運も強いが、事業への執念は他の新電電トップより一桁違う」

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