さらに、昨年11月以降に池入れした今漁期の「新物」が出そろうのはこれから。新物は人気があり、土用の丑の日の商戦に向け、一段と価格が上昇する可能性もある。市場関係者は「相場についてはまだ何ともいえないが、品薄感はある」と分析する。
不安を募らせているのは、鮮度の良さや国産にこだわるうなぎ専門店だ。90店ほどが加盟する東京鰻蒲焼商組合の三田俊介顧問(前理事長)は「昨年は1キロ当たりの仕入れ価格が3000円台まで下がって安心したが、活ウナギが不足気味の今年は再び5000円台に向かっている」と警戒する。
前回、仕入れ価格が5000円台に上昇したときには価格転嫁しきれない専門店が続出し、160程度あった加盟店の廃業が相次いだ。三田顧問は「専門店でうなぎを食べることを楽しみにするお客さんがいる。そう簡単に値上げはできない。あおりを受けるのはいつもわれわれだ」とため息をつく。
対照的に、大手スーパーは「足元の相場上昇の影響はそれほど大きくない」(首都圏の大手スーパー)と余裕を見せる。 大手スーパーは価格戦略上、手当てした時期を明らかにしないが、「安値で推移した昨年秋から今年初めにかけて、ウナギを買いあさっていた」(都内のうなぎ専門店)。丑の日商戦用のウナギを春までに手当てしていたとみられる。