家庭向け電力小売りの自由化が来年4月に迫り、電力業界の動向が活発になっている。すでに自由化された企業向けに電力を販売する特定規模電気事業者(新電力)の届け出は約670社に上り、割安な料金で契約数を伸ばしている。一方で、地域独占も崩れる大手電力会社同士の競争も過熱する。関西電力は巨大市場の首都圏進出を見据えて千葉県内の火力発電所を購入し、供給エリア外に攻め込むため異業種との合従連衡も進む。大手、独立系新電力、異業種が入り乱れ、さながら戦国時代前夜の様相を呈している。(藤谷茂樹)
存在感増す新電力
「大手電力会社からの切り替えの問い合わせを受け、見積もりは週平均160件になっている」
こう語るのは独立系の新電力、洸陽電機(神戸市東灘区)の山本吉大会長だ。
関電が4月、東日本大震災以降で2度目の値上げに踏み切った影響は大きく、4月の契約は電力容量に換算して前月比7・5倍になった。
近畿経済産業局の管内電力速報によると、今年3月分で企業向け販売電力量のうち、新電力による販売分が7・1%を占め、過去最高を記録した。関電が昨年12月に今回の値上げを表明する以前は5%前後で推移していたが、その後に跳ね上がった。