■小さなミスも許されないレース現場
自動車レースは、どんなに優秀なドライバーがいても、決して一人の力では成り立たないチームスポーツだ。カテゴリーによって数十人から数百人というチームスタッフが一緒に働く中で、一つのミスも許されないシビアな世界。大所帯をまとめて戦うには、高いレベルのマネジメント能力が欠かせない。全体を統括するチームマネジャーや各部門のリーダーは、どんなことを意識しながら組織を動かしているのか。
《メカニックの仕事ぶりを細かくチェック》
昨年から「SUPER GT選手権」に参戦しているLMcorsaは、大阪トヨペットグループが母体。レース経験の少ないディーラー社員で結成した“異色”のチームだ。レース現場を統括するチーム代表の俣野俊典氏も、普段は同社の社員としてオフィスで働く。
俣野氏がサーキットで意識するのがチーム体制だ。周りはレース専従のメカニックを抱えるチームばかり。「彼らはわれわれより経験やノウハウがあるので、タイヤ交換や作業スピードを注意して見ています。この世界は『これが終わったら、次にあれを準備する』など、先のことを考えられる人でないと続きません」。観察から得た有益な技術や情報は、しっかりとチームに持ち帰る。