暮れのボーナス商戦でにぎわう12月20日。東京都新宿区のソフトバンク代理店の従業員は、苦笑交じりにこう説明した。
「ソフトバンクも国には逆らいたくないようだ」
携帯電話の成約時に、ソフトバンクから同店に支払われる販売奨励金は、前週に比べ1割減った。総務省が18日、携帯電話料金の引き下げを携帯大手各社に指示したためだ。
一方、港区にある別のソフトバンク代理店は、少しでも契約を増やそうと「『最後』のキャッシュバック(現金還元)セール」を掲げた。高止まりしていた携帯料金に官のメスが入り、販売の現場では自粛ムードと“駆け込み需要”を狙う動きが入り交じる。
■官製不況を懸念
東京都内の代理店によると11月末から12月中旬で、販売奨励金が最も高額な機種は「iPhone(アイフォーン)6」だった。9月に新モデルが発売されて型落ちとなり、在庫処分を進めるためだ。高額な販売奨励金をキャッシュバックに充て、2年契約で1人当たり4万円の通信料金割引と6万円分の商品券の計10万円の還元を掲げた店も複数あった。
しかし、多額のキャッシュバックなどで他社からの乗り換え客を優遇するビジネスモデルを、総務省は「不公平な販売手法だ」と問題視した。利用料金の引き下げに加え、キャッシュバックの見直しなどの改善を求めた。