今後、携帯事業者が販売奨励金を削るのは確実だ。販売店でも「年明けには、乗り換え客向けも手数料が無料になる程度の割引に落ち着くのではないか」(代理店の店員)と、“官製不況”を危惧(きぐ)する声も上がる。
■アップル偏重是正も
国内の携帯市場は、アイフォーン1機種が全体の5割を占める。ドコモの場合、スマホ販売台数の4割をアイフォーンにするよう、米アップルから「ノルマ」を課された。他の携帯大手も同様に、一定水準の販売義務を負う。各社は大量のアイフォーンをさばくために、なりふり構わぬ手法で販売拡張を繰り広げた。
だが、総務省の掲げた料金引き下げ方針を受けて、NTTドコモなど携帯大手3社が発表する低料金プランは、データ使用量が1ギガ(ギガは10億)バイト以下で月額5千円程度の水準になる見通しだ。値下げに伴い販売奨励金の原資が圧縮されれば、スマホ市場に寒風が吹き、現在の活況に陰りが生じるとの懸念もある。
一方で、アイフォーンに偏重した販売環境が是正され、「国産スマホメーカーには追い風になるかもしれない」(NTTドコモ幹部)との見方もある。ヨドバシカメラマルチメディアAkiba(東京都千代田区)では、販売奨励金が削られる見通しの来年、端末メーカーごとに機種を陳列したり、わかりやすい料金表示を工夫したりするなど、一般の家電商品と同様の販売体制に転換する方針だ。