
高圧縮比と低圧縮比のディーゼルエンジンの比較(図1)【拡大】
これに対してマツダのディーゼルエンジンの場合は、低い圧縮比のおかげですでに述べたように混合気がよく混じり合うため、上死点で着火・燃焼を始められる。つまり、圧縮のプロセスと膨張のプロセスが一致するために圧縮比と膨張比の数値も同一となり、燃焼の効率に優れ高い出力が得られるのだ。
このように、低圧縮化は、NOxの発生を低減できるほかに、実はもうひとつ利点がある。エンジンそのものの重量を軽くできることだ。従来の高圧縮率のディーゼルエンジンでは、構造に高い強度が必要なことからシリンダーブロックは鋳鉄製が常識になっていた。低圧縮化すれば軽量のアルミが使える。エンジン本体の軽量化は、回転数の上限を引き上げ、さらには乗用車そのものの運動性能向上にも寄与する。
低圧縮化によって、マツダが最終的に製品化した2.2リッターエンジン(2012年に発売されたCX-5に搭載)の場合、シリンダー内部の燃焼時の最高燃焼圧力が従来の175bar(約177気圧)から135bar(約137気圧)に下げられたため、エンジンの構成部品・構造材に対する荷重が大幅に減少した。